住職のつぶやき

 4月の下旬に女子生徒3名が境内にある金色釈迦如来坐像へお参りを兼ね、写真撮影に訪れていました。観光客が隣の料亭で昼食を食べた後、境内にある金色釈迦如来坐像を撮影する光景を普段から見慣れている私の眼には、いつもと同じ光景に映ったのですが、妻は制服姿の可愛らしい女子生徒が真剣な眼差しで合掌する姿と、その立ち居振る舞いを見て感激し、お菓子を小脇に抱え境内へ飛び出して行きました。

 
 そこで女子生徒から、『私たちは大仙市立太田中学校の生徒ですが、此処の大仏様は私たちにとって縁起の良い御利益のある仏様なのですよ。部活の大会の時バスでこの前を通る際、車中で選手も応援団も手を合わせてお祈りをしながら通ります。御蔭さまで昨年は野球部も全国大会出場したし、バレーボール部も良い成績を納めることが出来ました。これから総体の前哨戦、春季大会が始まりますし・・・』という話を聞き、妻は興奮気味に会話の内容を私に伝えてくれました。

 また我が家に出入りする寿司屋の女将Sさんは、出前の時或いは寿司桶を取りに来る時、必ず人知れぬ処から金色釈迦如来坐像に敬いの心で合掌し頭を垂れている尊い姿を私は何度も見かけたことがあります。
更には当山の本堂で仏前結婚式を挙げた横手市で整体師として開業されたMさん。彼は毎日当山から授かった大黒尊天に一華を捧げ、感謝の気持ちで合掌し祈りを捧げているとのこと。其のおかげでお店も開店以来三年間順調のようで、先日は新車で購入したハイブリット車αの交通安全祈願に来寺されました。

 

 お釈迦様の真実の教え妙法蓮華経の前半の要、方便品(大意 : 菩薩も、それ以外の誰もが仏の悟りを得ることができるという教え)に、
 若し人が塔廟や宝像及び画像に華や香を以って敬いの心で供養すれば、皆すでに仏道を成ずる。
 若し人が散乱の心で乃至一華を以って画像に供養すれば、漸く無数の仏を見たてまつる。
 或いは人が礼拝し或いは合掌し乃至一手を挙げ、或いは頭を垂れて像に供養すれば漸く無量の仏を見たてまつり、自ら無上道を成し遂げ広く無数の衆生を済度し無余涅槃に入る。等々「小善成仏の譬えが列挙されております。

 『御蔭さまで・・・・』の言葉を耳にする時、私はとても幸せな気持ちになります。“貴方のお陰で” “お前のお陰で” “お父さんのお陰で”このような謙虚な会話とお互いが合掌しあえる家には、必ずや多くの福が舞い込んで来ることでしょう。恐らくテレビドラマ「家族ゲーム」のように家庭崩壊になることは無いでしょう。今月は中学校・高校総体も始まります。選手諸君の健闘をお祈り申し上げると同時に、生徒たちの頑張りに美味しい寿司で労をねぎらい、疲れた体は整体師さんから身体の疲労を取り除いて頂き、心も体もリフレッシュ。明日への英気を養うと共に其々にご利益がありますように祈る次第です。そして必ずやこの小善の行いの積み重ねが成仏という大果を結ぶものと確信致しております。                         合掌